本のまえがきでお見舞されたのは、初めての経験かもしれない。

100万人の群衆の中から、この本の著者を簡単に見つけ出す方法がある。まずは、空が真っ黒になるほどのバッタの大群を、人々に向けて飛ばしていただきたい。人々はさぞかし血相を変えて逃げ出すことだろう。その狂乱の中、逃げ惑う人々の反対方向へと一人駆けていく、やけに興奮している全身緑色の男が著者である

本屋で偶然見つけ、思わずジャケ買い(まあ、買ったのはKindle版だけど)してしまった。

そしたら大当たりだった。

間違いなく今年一番のノンフィクションだ(今年はあんまり本を読んでいないのだけれども)。

この本は、バッタに魅せられた一人の日本人男性の、夢と希望とユーモアに溢れた冒険譚である。

ああもう、こういうの大好きだよ!

この人の最初の動機は、とても個人的で打算的なものだ。

でも、この人のバッタに掛ける情熱は常軌を逸していて、狂気だ。

本来なら同居しないはずの感情がうまく同居して、グルグルと回って、時に大胆に、時に戦略的にこの人を突き動かす。

この本から学べる教訓は、人生を面白おかしく生きるには「狂気」と「戦略」の2つが必要だということ。

狂気だけではおまんまが食えないし、戦略だけだと人生がつまらないものになる。

アフリカでは、バッタによる農作物の被害が年間400億円以上にのぼることを、みなさんはご存知だろうか?

恥ずかしながらぼくは本書を読むまでそんなことは全く知らなかった。

作者が研究対象としたバッタはサバクトビバッタといい、アフリカでは害虫としてみなされている。著書によると

ひとたび大発生すると、数百億匹が群れ、天地を覆いつくし、東京都くらいの広さの土地がすっぽりとバッタに覆い尽くされる。農作物のみならず緑という緑を食い尽くし、成虫は風に乗ると一日に100km以上移動するため、被害は一気に拡大する。地球上の陸地面積の20%がこのバッタの被害に遭い、年間の被害総額は西アフリカだけで400億円以上にも及び、アフリカの貧困に拍車をかける一因となっている

のだという。

400億円以上である。

このバッタの効率的な駆除方法を確立できれば、とてつもない業績として認められる。

しかし、未だかつてその駆除方法を確立した研究者はいない。そこに目をつけた筆者は、単身アフリカのモーリタニアへと旅立つのであった。

モーリタニアってどこだよ?ってくらいマイナーな国であるが、ご多分に漏れず作者も日本とのあまりにかけ離れた現地の常識に何度も打ちのめされる。

郵便局員にはぼったくられるし、学生にもぼったくられるし、長年連れ添うドライバーにもぼったくられるし、とにかく色んな人にぼったくられる。

とにかくドタバタ珍道中。

一気に読んでしまったよ。

いや他にも色々と語りたいことはあるのだが、とりあえずこの本は読んでおけ。

下手な小説よりも100%面白い。

こういう出会いがあるから読書はやめられない。

まだまだ続くぜ!